その名のとおりお湯でゆでただけのたまご料理といえば【ゆでたまご】。
たまごを使った料理は数あれど【ゆでたまご】は、まさに究極のシンプルかつ基本のたまご料理でありながら主役にもなるのはもちろん、料理の名脇役的な存在にもなる、とてもすぐれたおいしさです。そのまま、お塩やマヨネーズをつけてそのままパクっと食べてもよし、サラダに和えてみたり、パンの具になったりラーメンにのっけてみたり…。
【ゆでたまご】は、子育て中のいそがしい主婦の方にとっても、それだけで朝食の立派なメニューになるし、夕飯時もサラダなどにもパッ添えるだけでヘルシーな「あと1品」にもなってとても便利ですよね。
以前、たまごコラム「たまごのプロが伝授!ゆでたまごにまつわる豆知識。知っておけばとっても便利!」でも【ゆでたまご】にまつわる記事をご紹介しましたがこのなかで、失敗なくつくるためのポイントとして
●水からではなく沸騰したお湯にいれてからゆでる
●中火で11分
●採卵から5〜7日経過したたまごが最適
とご紹介しました。これはあくまでスタンダード(基本的な)失敗の少ないゆでたまごの作り方になります。
しかし実際のところ【ゆでたまご】って白身の硬さや黄身の好みは人それぞれですし、味わい方や料理によってもさまざまなのではないでしょうか?また「固茹でにはしたくないのに、うまくゆでられなくて固茹でたまごになっちゃった」なんていう失敗…経験したこと、きっと一度はあると思います。
そんなとき自分の好みの、絶妙なゆで時間や調理法を知っておけばいろいろと便利ですよね。
そこで今回、たまご屋である藤野屋が実際に【ゆでたまご】をゆでてみて、時間ごとや種類別などさまざまな角度から実証してみました。
ゆでたまごはゆで時間によって黄身・白身ともに固さだけでなく食感も異なってくる
まずはゆでたまごを実際にゆでる準備から。
今回は、冷蔵庫に入れたままではなく常温に戻した藤野屋の商品「さくらたまご」を利用しました。常温にした時間は冷蔵庫から出して約30分くらいのもの。
ちなみにお湯が沸騰してからたまごを今回は投入。沸騰加減はフツフツ、というより「ポコポコ」となっているこんな状態。
たまごを投入!今回は中火でゆでました。ときどきお箸でやさしく転がして熱がまんべんなく行きわたるようにしてみました。
ゆで時間によって固さも食感も微妙にちがう!ゆで時間は5分〜11分まで時間別にゆでててみました。
5分・・・黄身の中心はまだ若干半熟のような状態でねっとり感のある状態。白身もプルプルとしていてやわらかい。
6分・・・白身と黄身の間の部分はしっかりとゆでられてる感じだが、白身全体はまだまだ柔らかい。黄身は食べてみるとまだ少しねっとりとした食感。
7分・・・5分のときのたまごのような白身のやわらかさではなくだいぶしっかりとした食感に。黄身もまだあと少しねっとりとした感じ。
7分半・・・黄身のネットリ感は、ほぼなく白身もしっかりとしたゆで加減。白身と黄身のゆで加減が「しっかり」ゆでられている食感に。
8分・・・黄身のネットリ感はまったくなく、ホロホロとした食感に。
8分半・・・全体的に黄身も白身どちらもいわゆる「固茹で」な状態になってきている。
9分・・・8分半と大きな変化はない。
10分・・・黄身がしっかりとした固さに。さつまいもを食べたときのようなホクホクな食感。
11分・・・ここまでくると、かなり固ゆでな状態のハードな感じ。
ゆで時間の違いは「食べ方」「料理の種類」によってベストなものを見つけよう
今回は5分〜11分まで9段階にわけてゆでたまごをつくってみましたが、30秒〜1分の違いで、ゆでたまごの見た目も食感も微妙に異なってくることがわかりました。たまごって本当に「熱」に対して繊細な食材なんですね。
ゆでたまごをシンプルにそのまま食べるときはもちろん、さまざまな料理に使うときに、この「ゆで加減」を覚えておくとベストな状態のゆでたまごを作ることができますね。
冷蔵庫に入れたままのものと常温との比較
もうひとつ、よく疑問に思うのが、ゆでたまごをつくるさいに「冷蔵庫に入っている状態のたまご」と「常温に戻した状態のたまご」どっちがいいのかなという点。そこで冷蔵庫からそのまま取り出したたまごと常温のたまごの、ゆでたまごの違いも試してみました。
使ったのは平飼いたまごの「地養卵」を中火で11分ゆでてみました。
同じ種類のたまごを同時に、同じ時間ゆででてみた結果、「冷蔵庫から」のたまごは黄身の中心部がまだ完全に固まっていない状態で、中心の黄身の色が濃い状態になりました。それに対して「常温」にしたたまごの場合は、しっかりとした固さの状態に。黄身の色も外側と中心でいろの違いもなく、「ザ・固ゆでたまご」になっていますね。
たまごの商品別にゆで比べ・食べ比べてみた
次に藤野屋のたまごを、商品別でゆで比べて、見た目や味の違いを検証してみました。
使用したのは【さくらたまご】と平飼いたまごの【久住高原育ちの平飼い卵】と【地養卵】の3種類。
ちなみに【さくらたまご】はポートリー(ケージ飼い)、【久住高原育ちの平飼い卵】と【地養卵】は平飼い鶏舎で育ったたまごになります。この3種類のたまご(すべて常温の状態)で中火で11分ゆでてみました。
色がうすい桜色のものが【さくらたまご】、向かって左の赤たまごが【地養卵】、右が【久住高原育ちの平飼い卵】。
養鶏の方法や飼料によって微妙に異なる「たまごの味」
ゆでた結果は…当然ではありますが、商品によって同じ条件でゆでても見た目はもちろん、味にも違いがありました。
さくらたまご・・・黄身はしっかりと固まっている。味はあっさりとした黄身の風味。
久住高原育ちの平飼い卵・・・完全には黄身が固まっていない。サクラと比べると黄身にコクを感じる。
地養卵・・・他の2つのたまごに比べ大きめなのもあり、黄身の中心部は固まっていない。黄身がまろやかでコクがある。黄身と白身がしっかりと密着していて食感のばらつきがない。
たまごの黄身の色の違いは、鶏が食べた飼料(エサ)によって異なってきます。とうもろこしや麦などの原料を配合・加工して独自にブレンドしたベーシックな配合飼料「レギュラー飼料」を食べて育った【さくらたまご】と【久住高原育ちの平飼い卵】のたまごより、「レギュラー飼料」に加え自然から培われた「地養素」を含んだ飼料を食べている鶏が産んだ【地養卵】は、黄身の色味が濃く味わいもコク深いという印象でした。
【番外編】好みのゆで加減のゆでたまごをきれいに「むく」「切る」方法
お好みのゆで加減でゆでた【ゆでたまご】ですが、殻をキレイに「むく」ことと、たまごをつぶすことなく上手に「切る」方法も、どんな方法がよいか試してみました。
すっきり!ツルン!と殻をキレイに「むく」最大のポイントはゆでたらすぐに「きっちり」冷やす!
以前のコラムでもご紹介しましたがゆでたまごをキレイにむくためにはゆであがったらすぐに、きっちりと冷やすこと!この「すぐに」がポイント!
ゆであがって放置してから冷やすと上手く殻がむけないだけでなく、予熱で黄身・白身に熱が加わるため、お好みのゆでたまごに仕上がらない原因の一つにもなってしまいますので、必ずちゃんと氷水につけてしっかりと冷やしましょう。
画びょうなどで穴を開けてからゆでる方法も
もうひとつやってみたのが、たまごのとがっていないほう(丸いほう)に画びょうや安全ピンなどで穴を開ける方法。穴をあけることで殻と卵白の間にある「卵殻膜(らんかくまく)」に水分が浸透し、たまごがむきやすくなります。
ゆでたまごをキレイに「切る」コツ
殻がきれいにむけたら次は黄身がボロボロにならずキレイに切る方法をご紹介します。
糸を使って切る
これは実は私の祖母も昔やっていたのですが、糸を使って切るという方法。ゆでたたまごに糸をかけて、ひっぱるだけのシンプルな手法ですが、個人的にはこの方法が一番失敗なくたまごをカットできるように思います。
包丁にラップを巻いてから切る
先述した「糸」を使った方法もいいけど、糸を準備することさえも面倒、という方は台所にあるキッチン用品である「ラップ」を包丁に一巻きしてから切ってみてください。包丁だけでたまごを切ると、黄身と白身がボロボロになってしまいがちですが、ラップを巻くだけでその失敗を防ぐことができます。
ただし、あまり力を入れすぎないで切るのがコツです。
まとめ
今回はたまごを加熱料理するもっともシンプルなレシピである【ゆでたまご】を「ゆで時間ごと」「常温or冷蔵」「商品別」のたまごの状態や食感・味わいなどの違いをはじめキレイな殻のむき方、ゆでたまごの切り方などを検証を交えてご紹介しました。
ゆで時間によるたまごの違いを実際にご家庭などでもやってみることで、自分にとって絶妙なゆで加減のゆでたまごを作る参考になりますし、料理の目的にあった「ゆでたまご」をつくることができます。
ぜひゆでたまごづくりの参考にしてみてくださいね!