私たちが毎日生産している【たまご】は栄養価が高く、値段も良心的なため重宝する食材として、日々の食生活に取り入れてくださっている方は多いと思います。
その一方で「たまごを食べすぎるのは体によくない」、そんな話を聞いたことはありませんか?
根拠はよくわからないけれど…
「なんとなく、1日に何個もたべちゃいけないって聞いたことある」
「たまごは高コレステロールだから体に悪い」
そんな話に、たまごを多く食べることに対して戸惑う人もいらっしゃると思います。
でもこのような「たまごを食べすぎるのは体に悪い」説は、まったくの誤解!
健康な人であれば人1日2個以上のたまごを食べても大丈夫ですし、むしろ積極的に2個以上食べるべき食材なのです。
そこで今日は、たまご屋の名にかけて、【たまご】と【コレステロール】の関係について、お話しします。
そもそもコレステロールとは何なのか?
たまごとコレステロールの関係のまえに、まずは【コレステロール】とは何なのかをお話しします。
【コレステロール】と聞くと、根拠はないのになんとなく悪いもの、と思われがちですが、脂質のひとつです。
私たちの体には、100~150gものコレステロールが常時蓄えられており、それらは男性ホルモンや女性ホルモンをつくるために必要な「細胞膜」の材料になります。
またストレスと戦うために必要な材料にもなるなど、人間の体にとって必要な存在なのです。
コレステロールは大きくわけて2つある
コレステロールには、【LDLコレステロール】と【HDLコレステロール】の2つがあります。
健康診断の結果などでも、目にしたことがあるのではないでしょうか。
LDLコレステロール・・・悪玉コレステロールといわれ、体にコレステロールを運ぶ役割をもつ。LDLが多すぎると、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こす原因に。
HDLコレステロール・・・体内の余分なコレステロールを肝臓に戻す役割をしてくれる善玉コレステロール。HDLが高ければ動脈硬化の進行が抑えられる。
大切なのはLDLとHDL、2つコレステロールのバランス
コレステロールの量で大切なのはLDLの供給と、HDLによる余分なコレステロールの回収のバランス。
脂質の高いものばかりを食べてLDLが増えすぎる一方で、脂質を極端に減らすなどを続けてしまうとHDLが少なすぎてしまい、結果的に血管にコレステロールが溜まり、血管が原因の病気の引き金になってしまいます。
【たまご】には体にいいコレステロールが含まれている!
では、私たちの身近な存在【たまご】にはどんなコレステロールが含まれているのでしょうか?
たまごには【オメガ3脂肪酸】と【食事性コレステロール】というコレステロールが含まれています。
まず【オメガ3脂肪酸】は、ヘルシーな脂肪酸。血圧を下げたり、血栓予防の効果もあるといわれている、とても体に良い脂肪酸です。
また【食事性コレステロール】も心臓病のリスクを増やさないなど、体にとってよい影響のあるコレステロールといわれています。
たまごのコレステロールがよい理由は、【ミリスチン酸】が少ないから
コレステロールはおもに肝臓で作られるのですが、小腸で吸収され肝臓に運ばれるものに【ミリスチン酸】という脂肪酸があります。
【ミリスチン酸】は、細胞膜の合成などに役立つため悪者ではないのですが、余ったコレステロールが肝臓にもどるのを邪魔してしまうといわれ、いわゆる悪玉コレステロールの原因になってしまうのです。
しかしたまごにはこの【ミリスチン酸】がほとんど含まれていないだけでなく、コレステロールを下げる【オレイン酸】が豊富なため、たまごのコレステロールは体に悪影響を及ぼさない、ということになります。
卵白、卵黄に含まれる成分が悪玉コレステロールを減らしてくれる!
さらに卵白に含まれている【シスチン】という成分や、卵黄に含まれる【レシチン】という脂肪酸も、悪玉コレステロールを減らす働きがあります。
つまり、たまごを食べるとコレステロールが心配というどころか、私たちの体にとって強い味方なんです!
コレステロールの摂取目標量はなし。健康な人は積極的にたまごを食べてOK
2010年版の厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、1日あたりのコレステロール目標量は男性1日750mg未満、女性600mg未満とされていました。
しかし2015年版の改定で、「日本人の食事摂取基準からコレステロールの摂取基準は削除され、目標量はない」と改められました。
その理由を簡単にいうと、コレステロールは体内で作られる脂質で、食事で摂取するコレステロールは少ないため、そもそも「目標量」を決める必要はないと判断されたからです。
高コレステロールの人は、摂取量に注意して
とはいえ、すべての人が目標量を気にせずたまごを1日に何個も食べて大丈夫、というわけではありません。
2020年版の「日本人の食事摂取基準」では
日本人の食事摂取基準において、少なくとも循環器疾患予防の発症予防の観点から目標量(上限)を設けるのは難しいが、これは許容されるコレステロール摂取量に上限が存在しないことを保証するものではなく、脂質異常症の重症化予防の観点からは、200 mg/日未満に留めることが望ましい。
とあるように、2015年同様目標量は設定はしないものの、脂質異常症や循環器系の疾患を予防する、という意味でも、過剰に摂取しないように気をつけましょう、という主旨の内容が記されています。
参考資料:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
健康診断などでコレステロールが高いと言われている方や、遺伝的に高い方などは、コレステロールの摂りすぎには注意しましょう。
体に必要な栄養豊富な【たまご】を食べることで健康維持につながります
【コレステロール】という観点から見て、ずっとたまごは「悪いもの」というイメージをもたれていたのですが、それはまったくの誤解!
逆に私たちの健康づくりにおいて頼もしい存在であることをお話ししました。
たまごを日々の食事に取り入れることは、子どもからお年寄りまで幅広い世代の健康に、幅広くよい面を持っています。
ただし、たまごは100gあたり420mgと、決してコレステロールの量が少ない食材ではありませんので、一緒に食べる食材やメニューも、バターや生クリームなど飽和脂肪酸の多いものはひかえて野菜などと一緒に食べるなど、ヘルシーな食事を意識することも大切です。
健康を維持していくうえでも、食事だけでなく運動なども取り入れながら、たまごを安心して食べていただければと思います。
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