栄養もしっかりととれるうえに、幅広い料理法ができて使い勝手としても超・万能な【たまご】は、実は加熱するか否か、また加熱する時間によって、栄養の吸収の仕方が異なってきます。
そこで今日は生たまご、半熟たまご、ゆでたまごそれぞれで吸収する栄養素にどういった違いがあるのかなどをお話したいと思います。
たまごには人間に必要な栄養素がぎっしり!
これまでたまごコラムでも、何度も「たまごには人間に必要な栄養素が豊富に含まれている」というお話はしてきました。ざっくり言うと、たまごにはビタミンCと食物繊維以外の栄養素がほぼ含まれています。
たまごの栄養成分。それらを効率よく取得するための調理法とは?
特にすぐれている栄養素は次のとおりです。
アミノ酸
タンパク質を構成するアミノ酸。そのなかでも特に人間に必要な「必須アミノ酸」がたまごにはバランス良く含まれています。
レシチン
脳組織の活性化や老化を防ぐと言われている「コリン」と呼ばれる成分が含まれているレシチン。動脈硬化や肝機能の向上をはじめ、脂質の代謝を活発にするなどの作用があります。
コラーゲン
コラーゲンの主原料である「アミノ酸」がたまごには多く含まれています。毎日の食生活に取り入れることで、ツヤとハリのある美しい肌へ導く、女性にうれしい栄養素ですね。
ビタミン群
体をつくるうえでのエネルギー源となるビタミンは、健康維持には欠かせない成分です。またビタミンには、他の栄養素がうまく働くための「橋渡し」的存在でもあります。たまごにはビタミンA、B1、B2、D、Eなどのビタミン群が豊富に含まれています。
この他にも葉酸や鉄、カルシウムなど体によい栄養素が多く含まれているんです。
加熱時間によって栄養素の吸収の効果が変わってくる
小さなたまごに含まれる多くの栄養素ですが、冒頭でもお話したように加熱するかしないか、また加熱する時間の長さによって、栄養の吸収の仕方や効果が変わってきます。
①加熱時間なし!生たまごの場合
日本は世界的に見ても数少ないたまごを生食する文化がある国。「たまごかけごはん」などは、シンプルながらも日本人にとってソウルフードであり、もはや日本の食文化の一つといっても過言ではありません。
加熱せず、生たまごで味わううえでの一番のメリットは「ビタミン」の吸収率、特にビタミンB群の栄養を多く摂ることができるところです。
「最近なんだか元気が出ない、頑張りたいけどなんとなくパワーが出ない」そんな日は、生の状態でたまごを味わうことで、効果的にビタミンを摂取でき、元気をチャージできるかもしれません!
➁黄身も白身もトロトロ。半熟たまごの場合
半熟たまごは【どの栄養素を最も吸収できるのか】というより、もっとも体に負担をかけずに、たまごの豊富な栄養素をまんべんなく吸収できるのが特徴です。半熟たまご、とひと口にいっても、加熱時間や好みによってトロトロ具合が変わってきますが、最も体への吸収がよい半熟たまごは温泉卵くらい柔らかい状態のもの。
よく、風邪気味のときや胃腸が弱っているときなどに、たまごがゆや鍋焼きうどんなど消化に良いものをたべるのが良いと言われるのも、この半熟たまごの消化の良さが関係しているのではないでしょうか。
ちなみに半熟たまごと固ゆでしたたまごでは、消化吸収にかかる時間が1時間も違うと言われています。「栄養を体に優しく、すばやく摂りたいな」というときは半熟たまごを意識して取り入れると良いでしょう。
③安全・安心!ゆでたまごの場合
ゆでたまごで味わう場合に特に得られるのが「ビタミンH」である「ビオチン」いう栄養素。ビオチンには髪の毛を作る成分が多く含まれており、育毛効果が高いとも言われています。このビオチンをたまごから摂取する場合にはズバリ、ゆでたまごが最も適しているのです。
逆に生たまご、とくにたまごかけごはんのように黄身と白身を混ぜ合わせた食べ方は、白身に含まれているタンパク質のなかの「アビシン」という成分が、ビオチンの吸収を妨げてしまいます。「最近ちょっと抜け毛が…」という方は、生たまごよりも、ゆでたまごを食べることを意識してみるのも良いかもしれません。
ゆでたまごは安全に味わえるというメリットも
生たまごや半熟たまごと比べ、黄身も白身もしっかりと加熱された「ゆでたまご」は、食べる上では何よりも安心して安全に味わえます。「賞味期限が近いたまごをたべようかな」「菌などが心配」というときに最適です。
藤野屋がオススメするゆでたまごの作り方は過去のブログでも紹介していますので参考にしてみてください!
たまごを色で選んでるの?! 赤玉と白玉の違いについて、たまご生産のプロが正直に答えます。
まとめ
いかがでしたか。加熱せずに生で味わうか、半熟、またはゆでて味わうかによって、たまごの栄養の吸収率や効果には、多少の違いがあることがわかりました。知識として覚えておくとその日の体調などで、たまごの調理方法や食べ方を変えることができ便利なのではないでしょうか?
しかしどの方法でも、基本的にたまごは私たち人間にとって重要な栄養素を手軽に、そして確実に与えてくれることには違いはありません。
今回ご紹介した、加熱時間の違いによる栄養素の吸収の違いを、日常の食生活でうまく活用しながら、たまごのある健康な暮らしをしていただけたらと思います。